2020/08/27 20:25
緩やかな丘一面にぶどう畑が広がる赤沢地区。
ぶどう畑を通り抜け行き着いたビニールハウスの中に入ると、吉田学さんは「ここが“オレの畑”です」とはにかむような笑顔で迎えてくれました。
“オレの畑”でぶどう農家の夢を形に
“オレの畑”と言うのは理由があります。
学さんの実家はぶどう農家で、今も両親とともに作業をしている家族の畑が3ヘクタールほどあり、そこで栽培しているのはワインやジュースなど加工用のぶどうです。
ぶどうの苗木は通常、植えてから3、4年目で収穫が始まり、7~20年目あたりが収穫量も味も安定します。
家族の畑は祖父や父が植え、老木になってきたものから更新しながら生産しています。
そこに隣接する“オレの畑”はその10分の1もない面積ですが、年間の管理から収穫、販売までのすべてを学さんが1人で担っています。
もとは高齢の農家が加工用ではなく生食用のぶどうを栽培していた畑を引き継いだもの。
「隣で作業しながらうらやましそうにこの畑を見ていたら(笑)、『よかったらやってみるか』って声をかけてもらったんです」
2010年に紫波町にUターンし30歳で就農した学さん。
5年目からは”オレの畑”と家族の畑の両方を手掛けています。
家族の畑の作業だけでも十分忙しいのにそれでも自分の畑を持ちたかったのは「生食用の大粒種(たいりゅうしゅ)はぶどう農家のロマン」という持論あったから。
「大粒種は味はもちろん房の形が命。ぶどう農家である以上は作り応えがある大粒種をやりたい」。
その夢が実現し、前の所有者から引き継いだ苗木だけでなく、シャインマスカットやサニードルチェなど最近、人気の高い品種についてリサーチし導入しています。
大粒種をイメージ通りの房に仕上げる ぶどう農家のロマン
大粒種は、6月ごろの花が咲く時期に房の骨格となる軸のうち3分の2近くを落とし、残した部分だけに栄養が行き届くようにします。
その後も余計な粒や成長が良くない粒を切り落とす作業を繰り返して、頭の中でイメージした房の姿に近い形に誘導していくという細かい作業の積み重ね。
「バシッとイメージ通りに決まると、ああ、このためにやってたんだなあ、って」
そんな収穫の手応えのために、1年中手間ひまを惜しみません。
「自分のぶどうは同じ種類のほかの生産者に比べて高いと言われることもありますが、分かってもらえる人に届けばいいと思って価格設定しています。気になった人はぜひ一度試してもらいたいです」
〈吉田学さんが出品している商品〉